日米進学通信

「受験はゴールじゃない 〜自立を育む3つの力〜」

新緑がまぶしく、木々の息吹が初夏の訪れを感じさせる季節となりました。学校では運動会練習やクラブ活動などが本格的に始まり、生徒の皆さんも新しい環境に少しずつ慣れてきた頃かと思います。
この時期、YTコースを卒業した中1生や中学部出身の高1生から、新たな学校生活についての報告が届き、「本当に努力が実を結んだね」と胸が熱くなる思いで聞いています。受験という大きな壁を乗り越えて、それぞれの新しいステージで頑張る姿は、私たちにとって何よりの励みです。同時に、来年度の入試に向けて、次の世代の生徒たちの背中をどう押していくか、その責任の重さを改めて感じています。

 自立を支える三つの力

さて、日米文化学院では創立以来、「受験を通じた自立支援」という理念のもと、指導を行ってまいりました。自立とは、単に親の手を離れて生活するという意味ではありません。「自ら考え、判断し、行動し、自分の人生を切り拓く力を持った人間に育つこと」こそ、私たちの目指す「自立」です。
2025年度の入試動向を見ても、この理念は時代に適したものであると確信を深めています。現在の高校入試や大学入試共通テストでは、単なる知識の再生だけでは通用せず、「思考力」「判断力」「表現力」に加え、「主体性」「協働性」などが評価の対象となっています。社会の構造が変わり、AIや自動化が進む時代においては、既存の知識よりも、課題を見つけ出し、それに対して自分なりの考えを持ち、他者と協力しながら解決していく力が問われるようになっています。
このような時代の要請を見据えたとき、「受験」は決して単なる通過点ではなく、自立を実現するための極めて有効な「訓練の場」であると、私たちは考えます。その訓練を効果的に機能させるために、私たちは「自立に必要な三つの力」、すなわち①言語力、②想像力、③行動力を明確に意識し、日々の授業にあたっています。そこで、今月はこの3つの力について考えていきます。

① 言語力 ―思考と表現の土台

人は言葉を通じて思考し、感情を整理し、他者とつながっていきます。つまり、言語力の向上なくして、真の思考力や表現力は育ちません。日米文化学院では、国語の授業において、読解だけでなく、文法や語彙の指導に重点を置いています。特に小学生の段階から「国文法」の土台をしっかり築くことに力を入れています。
これは単なる知識の習得ではなく、論理的な構文理解力を養うものであり、ひいては中学以降の「英語力の伸長」にも大きな影響を与えます。英語は「主語+動詞」などの明確な構造を持った言語であるため、日本語の文法構造に対する理解がある子どもほど、英語を論理的に学習しやすくなる傾向があります。逆に、日本語で自分の考えを組み立て、伝える力が未熟なままでは、英語も「使える力」として定着しません。また、日常生活においても、感情を「ウザい」「ヤバい」などの単語でしか表現できない子は、心の整理も、他者との対話も困難になります。言葉の選び方は思考の深さに直結しています。私たちは、授業中はもちろん、普段のやり取りや面談などあらゆる機会を通じて、子どもたちの言語感覚を豊かに育てていきたいと考えています。

② 想像力 ― 他者と共に未来を思い描く力

想像力とは、目に見えないものを思い描く力です。これは芸術的な感性に限らず論理的な思考や人間関係における共感力・思いやりなど、あらゆる場面において必要不可欠な力です。
特に入試問題では、「出題者の意図を想像すること」が解答の鍵になります。ただの暗記では太刀打ちできない問題が増えている今、文章の背後にある意図、グラフや資料が何を伝えたいのかを自分で読み解く力が問われます。
日米の授業では、一方通行の講義ではなく、「なぜ?」「どうしてそう思うの?」といった問いかけを大切にしています。そのやり取りの中で、自分の頭で考え、根拠を持って意見を述べる訓練を繰り返しています。これは、社会に出てから必要となる「論理的思考力」や「問題解決力」の原点でもあります。

③ 行動力 ― 考えを現実化する力

どれほど深い思考を巡らせても、実際に行動に移さなければ、現実は変わりません。行動力とは、考えたことを試し、実行し、結果を振り返って修正しながらやり抜く力です。
この力を育てるために、日米では「集会」や「グループワーク」、自分で計画を立てて実行するような取り組みを各学年で実施しています。いわゆる「PDCAサイクル」を意識してもらうために、中3の夏から導入している「Studyplus for School」もその一環で、生徒自身が学習状況を「見える化」することで、自分の行動を客観的に振り返り、改善しやすくする仕組みとして高い効果を上げています。

日米では、「とにかく成績を上げて受験に合格させる」ことを目的とした指導ではなく、その過程を通じて、子どもたちが自らの力で将来を切り拓ける人間に育つことを目指しています。一方的な講義、暗記偏重、モチベーションを伴わない大量の課題——こうしたものでは、三つの力は育ちません。私たちは対話と発問を重視し、生徒自身が主体的に学ぶ環境を提供し続けます。
今後の保護者会や個別面談でも、こうした取り組みの詳細をお伝えし、ご家庭と連携しながらお子様の成長を支えていければと願っております。ご質問・ご意見などがございましたら、どうぞご遠慮なくお申しつけください。

日米文化学院
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