日米進学通信

「受かる」ための模試とは?

 中学では前期期末の試験の結果が出揃ってきています。また、中学入試や大学入試では夏明けの模試の結果が手元に届くと共に、秋以降は本格的な模試のシーズンです。

 さて、結果を見て、どんな感想を持ったでしょうか?

「夏休みの勉強の成果が出て嬉しい!」

「自己ベストを大幅に更新できた!」

という声が聞こえてくる一方で、「あれだけやったのに・・・」「どうして成績が上がらないのか分からない・・・」という声も聞かれます。保護者の方々の中にも、「あれだけ毎日塾に通っていたのにどうして結果が出ないのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

模試は本番で結果を出すための「プロセス」

 しかし、結果が出た皆さんも、思ったように結果が出なかった皆さんにも、共通して言えることがあります。それは、これらのテストは「本番の入試ではない」ということです。つまり、「志望校合格」という大きな目標を見据えた時、ここで一喜一憂している場合ではないのです。

 模試の成績は水物です。例えば、この時期は異なるテスト会社による別々の模試が毎週行われることもあります。生徒によっては1週間で偏差値が8上がったり、5下がったりすることもあります。そんな時に、「今週頑張ったから偏差値がメチャメチャ上がった!」とか「1週間で自分はすっかりアホになった・・・」などということはあり得ません。それは、たまたま得意な分野が出た結果かもしれないし、苦手な分野に足を引っ張られたのかもしれません。所詮、偏差値は一つの目安に過ぎないのです。

 そんな水物の模擬試験であるからこそ、大切なのは「いかに模擬試験を活用するか」です。模試には自分の実力を測るという意味があることはもちろんですが、それ以上に、「自分の弱点を知り、それを克服するための材料」として活用する視点が重要なのです。実際、歴代の合格者、特に最難関と言われる入試を勝ち抜いた生徒たちに共通しているのは、模試を極めて効果的に使いこなしていたということです。特に入試に向けて、一通りの単元を勉強し終えた小6、中3の受験生にとって、いかに模試を活用できるかが志望校合格への鍵となるのです。そこで「模擬試験の正しい活用法」について考えていきます。

模試は積極的に活用するべし

 まず、模試は志望校に合わせて、適切な模試をできる限り活用するべきです。「まだ勉強が足りていないから、模試に時間を割くのは無駄な気がする」という人がいるかもしれません。あえて言いますが、この考え方は大きな間違いです。

 確かに、暗記的な要素が強い定期テストでは短期集中の勉強が有効かもしれません。しかし、曲がりなりにも一通りの学習を終えた段階で、圧倒的に大切なのはインプットよりもアウトプットです。自分で行う勉強は、出題者がどのような考え方で問題を作っているのかという視点がどうしても欠けがちになります。

 例えば社会で完全に暗記したと思っている内容でも、今まで聞かれたことのない切り口から出題されると簡単に引っ掛かってしまうのです。模試の問題は最新の入試傾向を踏まえた予想問題です。問題集とは異なる視点からなされる出題も含まれます。様々な出題パターンを知ることで、その後の学習で注意すべきポイントを体感すると共に、どんな問題が出てもひるまないマインドを作る上で、模試は有効なのです。

「時間配分」と「気持ちの切り替え方」を身につける

 受験においてどうしても身につけなければならないのが「時間配分」です。この感覚は一人での勉強ではなかなか身につきません。「もう少し時間があれば出来たのに・・・」

というのは、誰もが経験していることです。

 しかし、特に難関私立校の入試では「解くべき」問題と「解いてはいけない」問題の取捨選択が必要になります。その感覚を身につけるためには場数が必要なのです。

 また、日米ではカリキュラムとして授業内での「演習」を組み入れています。しかし、まとまって全ての教科を緊張感の中で行えるのは模試ならではです。入試では全教科のトータルの点数がポイントです。「失敗した教科を他の教科で取り返す!」などといった、メンタルの切り替え技術も、模試という実戦形式でこそ身につけることができるのです。

最も大切なのは「振り返り」

 そして、模試の活用法の中で最も重要と言えるのが「振り返り」です。

 模試を受け終わって最初に行う振り返りが「自己採点」です。これは全学年に共通で、必ず自己採点を行ってください。それも、できる限り早い段階で行うことがポイントです。「何を書いたか忘れた」という人がいますが、それは解答までのプロセスをよく考えていない可能性が高く、正解していたとしても偶然であって実力ではありません。

 試験が終わってすぐに自己採点を行うと、正確に解答を思い出せることはもちろんですが、正解だと思って間違えていた場合の「悔しさ」が大きくなります。この「悔しさ」こそが成績向上への原動力となるのです。

 また、自己採点の段階では完璧な復習は必要ありません。解説を読んで分からなかった問題は、その時点での実力が足りていなかったと思い、いったん置いておいてください。

 ちなみに、日米では中学生のテスト後に自己採点を行い、それをQRコードから提出することを義務付けています。残念ながら、今まで自己採点提出率100%を達成したことはありません。しかし、クラスが上がれば上がるほど、提出率が上がるのです。結局、成績を上げている生徒は自己採点を行っているのです。

復習は「復習すべき問題」に絞る

 「振り返り」を行う次のタイミングが、テスト結果の返却時です。とかく、保護者の皆さんは復習に完璧を求めがちです。しかし、復習はあくまで「復習すべき問題」だけ行えれば十分です。

模試の成績帳票は各問題の正答率まで載っています。そこで、実力に合わせて復習するべき正答率を決めて、あまりに正答率が低い問題には手を出さないことが大切です。なかなか成績が上がらない生徒に限って、正答率が非常に低い問題を質問してきます。しかし、仮にその問題の解法を理解しても、本番では「捨て問」である可能性が高いのです。

 大切なのは、「自分が取れる問題を取り切る」ことです。このことを徹底していけば、必ず成績が上がると共に、適切な志望校合格へと近づきます。

最後に

 繰り返しになりますが、模擬試験は本番ではありません。だから、テスト結果が良ければ自信を持っても良いですが過信は禁物です。逆に悪かったならば、志望校合格に向けて、あとどれだけの問題が解けるようになれば良いのかを逆算してください。その結果、「目標点を取るだけの実力を自分は身に着けられるはずだ!」という気持ちになれれば大丈夫です。

そして、一言つぶやいてください。「本番じゃなくて良かった!」と。

模擬試験を正しく活用することで、ここまでの学習で培ってきた「自信の種」をしっかりと育てて、着実に「実り」へとつなげていきましょう。 

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