模試の正しい活用法を考える
10月も半ばを過ぎとなり、千葉県私立中学入試の解禁日(1/20)、高校入試の解禁日(1/17)まで残すところ100日を切りました。神田外語大学で中高進学相談会「スクールフェア」が行われ、日米でも受験学年対象の保護者会も実施しました。いよいよ本格的に志望校を選定する時期です。過去問演習も始まり、保護者の方々ばかりでなく、やっと受験生達も自覚を持ち始めているかもしれません。焦ることなく、残りの期間で、本当にやるべきことをしっかりと吟味しながら、着実に前進していきましょう。
さて、今月17日(月)から保護者の皆様との個別面談が行われるのに先立ち、生徒の皆さんとの二者面談を授業後に行っています。その中で、ある受験生から、「模試に向けた勉強の仕方が分からない」という質問を受けました。この時期の模試は、確かに志望校を決定する意味でも重要な意味を持ちます。しかし、模試に対する考え方を間違えると、様々な意味で有用なはずの模試が、却って悪影響となることもあるのです。そこで、今月は模試の効果的な活用法について考えていきます。
模擬試験の準備とは?
まずは準備段階です。基本的に模試は、範囲が限定されている定期テストなどと違って、それまでに学習したことがランダムに出題されます。だから、特別に模試に向けた勉強をする必要はありません。淡々と日々の学習を続けることです。模試で良い点をとることは目的ではないのです。逆に、模試の直前にたまたまやっていた問題が運よく出題された場合、確かにその場ではラッキーなように思えますが、長い目で見ると悪く働くかも知れません。つまり、短期記憶で正解しただけで、継続的に定着していた訳ではないのに、それが実力だと勘違いして、復習が疎かになる可能性があるからです。模試の目的はその時点での実力を客観的に測ることにあるので、実力以上の結果が出ることは望ましくないのです。模試の目的をしっかりと理解しましょう。
「模試は本番のように、本番は模試のように」の本当の意味
次に、模試を受ける際の心構えです。「模試は本番のように、本番は模試のように」と、よく言われます。この言葉の意味は、「模試は本番の試験と同じように真剣に取り組み、本番は模試のようにリラックスして取り組む」という精神的な意味で捉えられがちですが、そういう意味ではありません。そもそも、内容的に矛盾していますよね。「模試は本番のように」の正しい意味は、前日の準備から当日の行動、試験中の態度など全てを、本番を想定して行うということです。例えば、前日の夕食で食べるものはどうするか?ゲンを担いで「とんかつ」を食べたら当日胃がもたれたりしないか?また、何時間睡眠をとるのか?もしかしたら、前日緊張で眠れないことがあるかも知れません。であれば、模試の1回くらい、前日遅くまで勉強してから受けてみるのです。当日は何時に起きますか?試験会場に入るのは何分前?試験開始までは何をして過ごす?それぞれの科目での時間配分は?などなど。すなわち、試験本番で気になりそうなことは全て模試で試しておく、というのが、「模試は本番のように」の意味なのです。そこで、先ほどの例で、寝不足でも結果が出たならば、当日あまり眠れなかったとしても、自信を持って受験できるし、逆に結果が悪ければ、良く眠るための方法を考えれば良いのです。
では、「本番は模試のように」の正しい意味はどうなるでしょう?これは、模試で試した様々な方法のうちで、最も結果が良かったときのそれぞれの方法を、本番当日に実施する、ということなのです。大体、本番で失敗してしまうときのパターンは、普段やっていたこととは違うことをやってしまって調子が狂ったり、想定していなかったような事態がおきて舞い上がったりする場合です。模試はそういった事態をさけるために一回一回色々なことを試すことができる貴重な機会なのです。そう考えると、模試に臨む態度も慎重になるのではないでしょうか?
模試が終わったらすぐやるべことは?
さらに、模試を受け終わってからやるべきことです。まずはその日のうちに自己採点をすることが重要です。実は、この自己採点が実力を大きく伸ばすポイントなのです。終わった直後であれば、記憶も新鮮なので、記述答案などもかなり正確に再現できるはずです。また、ケアレスミスに気づいた時のショックが大きいのもこのタイミングでの自己採点ならではなのです。そして、悔しいミスをした原因を必ず分析し、どうしたらそのミスが防げたのかを考えることです。日米では、自己採点が終わったらすぐに、WEB経由で、採点結果とテストの振り返りを記入するように指導しています。ここでの振り返りが充実している生徒は、成績が上がる可能性が非常に高くなります。自分がその後にやるべきことが明確になるからです。また、実際の結果が返ってきた時に、自己採点と実際の得点が大きく違っている場合は要注意です。実際より甘く採点している人は、そもそも自分の間違いに気付いてない、もしくは、自分の実力を誤魔化している可能性があります。「出来なかったかったことを出来るようにする」という原点に立ち返り、まずは、自分が出来ないことを素直に受け入れて下さい。また、実際よりあまりに辛く採点している人も問題です。自分の実力に自信が持てないからかも知れませんが、復習する必要のない問題に時間を割いてしまう可能性があります。正確に自己採点が出来る人は、客観的に自分のことを分析出来ているので、効率のよい復習が可能となるのです。
模試の成績表の使い方
最後に、結果が返ってきた時です。確かに、志望校の判定が良ければ嬉しいし、悪ければ辛いかも知れません。しかし、模試は模試であって、本番ではないことを忘れてはいけません。あくまでも現時点の実力を把握して、志望校合格に近づくための手段なのです。模試の帳票には、各問題の正答率が表示されており、志望校合格のためには、どのレベルの問題まで正解できれば良いのかの目安が分かります。合格点に達するために、本当に取るべき問題をしっかり復習して下さい。正答率が低く、解説を読んでも分からないような問題に時間をかけてはいけません。結果が良ければ、それを自信にしながら、油断することなく勉強を続けることです。逆に悪ければ、本番前に弱点を知ることが出来てラッキーだと思って下さい。「本番じゃなくて良かった!」という思いで、ひたすら弱点補強に努めましょう。
受験生の保護者の皆さんにとって、模試の判定は最大の関心事かも知れません。しかし、模試の本来の目的を忘れることなく、今回お書きしたことに留意して、ご協力ください。くれぐれも、結果だけに一喜一憂することのなきよう。そして、どうしても目の前にある不安をお子さんにぶつけそうになった時には、まず、深呼吸して落ち着いて、日米にご連絡ください。保護者会でも申し上げましたが、これからの日々は保護者の皆様にとっても「修行」の日々なのです。