中学受験・高校受験の「過去問のやり方」
11月初旬は冷房をつけるほどの陽気でしたが、半ばに入って、一気に冷え込んできました。秋を飛び越えて一気に冬が来た感じです。これだけの気温差があれば、体調を崩す人が続出するのも頷けます。ただ受験生にとっては、入試に向けて学力をつけることと同様に、万全の体調で受験に臨むことも大事です。日米でも室内の温度・湿度調節、換気に気を遣います。また、今年度も「くろだクリニック」のご厚意により、当学院でインフルエンザの予防接種を受けることができます。是非、 日米を最大限に活用して、学力も体調も充実させて受験に臨みましょう。
さて、秋以降、日米では塾内での過去問演習会を授業とは別日程(YTコースは毎週火曜日、中学部は毎週土曜日)で実施しています。対象は6YTコース生の全員と、いわゆる「入試相談」がない私立高を受験する中3生です。受験勉強を進めていく上で、過去問が様々な意味で重要であることは間違いありません。そして、そのやり方もまた、重要です。今回は過去問の取り組み方について考えていきます。
いつから「過去問」を行うか?
過去問の実施時期や方法については様々な意見があり、また中学、高校、大学、それぞれの入試で考え方が異なることは確かです。この点、日米では中学・高校入試に関しては、①出題範囲の学習を終えた段階で、②1年分を全教科一気に行う、ということを基本にしています。その理由を簡潔にまとめれば、「過去問を大事に扱う」ためです。確かに過去問は「二度と出題されない問題集」です。しかし、それぞれの学校がどのような生徒に来て欲しいのかが、端的に現れるのが入試問題です。過去問演習は、自分の勉強がその学校が求める方向に合致しているかをみる重要な機会だといえます。安易に手をつけずに、いかに本番に近い感覚で実施するかがポイントです。もちろん、時間的な制約もあり、全ての過去問を同様に扱うことが難しいことも確かですが、できる限り緊張感を持って取り組むことが大切なのです。
まずは「時間配分」
過去問演習の際に、まず意識すべきことは、時間の使い方です。一通りの問題を解き切るための時間配分の感覚をつかむことです。問題の配列は各校、各教科により特色があります。例えば、ある学校の社会は、1問目に複雑な処理を伴い、受験生の焦りを誘う問題が連続して出題されています。また、点数を稼げるはずの国語の漢字や文法問題が必ず最後にある学校もあります。その様な傾向に気付いた上で、「どの順番でやる時に自分は一番力を発揮できるか?」を試すのが過去問演習の大きな目的の1つです。受験生それぞれに性格は違うので、やり方も人それぞれです。自分に合った「解く順番」や「解き方」を模索し、最もうまくいったやり方を本番で実行するのみです。
「〇付け」のやり方
次に「○付け」の仕方です。「○つけなんて誰でもできるのでは?」と思われそうですが、そうでもありません。特に、漢字の表記ミス。思い込みのせいなのか、明らかに間違っている解答を○にしていることはよくあります。テストの見直し同様、「自分の解答には必ず間違いがある!」ということを常に意識しながら〇付けを行いしょう。また、マークシート形式の問題での、マークミスは入試においては致命傷です。「答えはあっているから○!」で片付けてはいけません。マークミスを防ぐ方法はあるので、過去問演習で必ず試して下さい。そして、記述解答の丸付けについては、ほぼ模範解答と一致している場合を除いては、必ず講師のチェックを受けて下さい。特に、国語の記述問題には必ず、部分点があります。この取り方が合否に大きな影響を及ぼすのです。自分で点数を予想することは大切ですが、部分点の要素について指導を受けることが得点アップにつながります。
正しい「間違い直し」とは?
そして、「間違い直し」です。過去問演習においては、全ての問題を完全に理解するまで直す必要は全くありません。なぜなら、私立校の入試は7割取れれば余程のことがない限り合格するからです。まずは、合格点を取るためにはどの問題までを取れれば良いのか?その感覚を身につけることこそが過去問演習の一番の目的です。1つの目安としては、解説を読んで理解できるかどうかです。解説を読んでも理解できないような問題は、いわゆる「捨て問」として割り切ることも大事です。この時期の過去問演習はあくまで合格点を取るための取り組みなのです。このことは是非、保護者の皆様にもわかって頂きたい点です。「全部できるようになるまで復習しなさい!」というのは、過去問演習において決して合理的ではありません。
合格につながる「振り返り」
過去問演習の最後に必ず行うべきことが「振り返り」です。ただ過去問を解いただけではあまり意味がありません。合格点が取れた場合には、その要因を分析し、逆に不合格点だった場合には次回に向けての改善点を、それぞれしっかりと言語化すること。それが得点力アップにつながります。「本番は模試(過去問)のように、模試(過去問)は本番のように」という言葉の意味は、単なる精神論ではありません。模試や過去問で一番うまくいったパターンで本番に臨むという意味なのです。日米では、個人の「過去問得点記入表」にそれを記入してもらうだけでなく、代々受け継がれている、受験者全員が閲覧可能な記入表にも記入してもらいます。(中3生は今年からGoogleフォームへの記入になりました。)そこで、それぞれの良かった点、課題点なども共有し、全員で合格に向かう工夫をしていくのです。
保護者の皆さんの感覚からすれば、「入試本番まであとわずか」、という思いから、過去問演習で結果が出ないと、焦りが募るばかりかもしれません。しかし、現時点での過去問演習で合格点にまで届いているのはほんの一握りです。これは毎年の傾向なのです。入試に向けて、本物の実力がついてくるのはこれからです。是非、子ども達のことを信じて見守っていて下さい。そして、受験生諸君は真剣に過去問演習に取り組むことで、最後は必ず合格点に達することを信じて、それぞれに「やるべきこと」を実践して下さい。我々は、過去問演習はもちろん、授業や今後行われる様々な受験に向けての取組みを通じて、皆さんを全力でサポートして参ります。