日米進学通信

「受験を通じてストーリーを作る」

大学入試の多様化と減少する一般入試枠

 今年もいよいよ最後の月となりました。中学入試では県内私立の推薦入試(第一志望入試)や県立千葉中や東葛中などの一次試験が終了しています。高校入試では私立の志望校が決定し、中学との高校との入試相談時期です。そして、大学入試では、総合型選抜や推薦入試などの嬉しい知らせが続々と届いています。ここ数年、国立の東京大学やお茶の水女子大学を始め、MARCHレベルの難関校、それぞれの進路選びの末に決めた大学など進学先も本当に多岐に渡ります。また、最近は大学受験でも推薦入試でありながら併願が可能な入試方式も増えています。いずれにせよ、大学の入試方式は多様化し、一般入試の定員枠は間違いなく減少傾向にあります。

「推薦入試」は「逃げ」ではない

 保護者の皆さん、特に自分も含まれる「団塊ジュニア」(もう少数かも知れませんね)の年代の方は、もしかしたら、「一般入試を受けてこその大学入試だ!」と思われているかもしれません。実は以前の自分もそうでした。また、就職活動の際に指定校推薦で大学に入学すると不利になるということが、まことしやかに言われたこともありました。やはり、「推薦入試」というのは何となく「一般入試から逃げた」という印象があったように思います。しかし、近年、高校部で本格的に大学入試分析をすることで、自分自身の考えも大きく変わりました。むしろ、高校に入学したら、推薦入試(総合型選抜)と一般入試両方を意識しながら勉強を進めることこそが、大学進学においては重要であるとすら思います。実はこの思いをさらに強くした経験が今年あったのです。

 ある理系の有名大学で教鞭を取られている方と話す機会があった際に、個人的な興味から、「指定校推薦、総合型選抜(AO入試)、一般入試、それぞれで入学した学生のうちどの学生が優秀か?」という質問をしました。すると、「AO入試が1番、次に指定校推薦。一般入試組は成績的に厳しい学生が多い。」との答えでした。恐らく、以前は違っていたのだと思います。しかし、その方からお話を聞いた上で考えてみると、非常に納得のいくものでした。すなわち、その順番が大学で学ぶ上でのモチベーションの強さと合致するのです。現在の「総合型選抜」の倍率は決して低くありません。ちなみに、昨年度、お茶の水女子大に合格した選抜方式の倍率は10倍でした。しかも、総合型選抜で求められるのは、普段の学業成績や当日の審査の出来はもちろんですが、書類選考の段階での志願理由、すなわち、その大学や学部などへの「想いの強さ」が大きなポイントになると思われます。高校入試では通用するようなありきたりのものや、とってつけたような内容を書いている受験生が合格することは、難関大になればなるほどあり得ません。やはり、「なぜ、その大学のその学部、学科なのか?」ということが明確に打ち出されていなければならないのです。中には、志望学部の教授の研究内容にまで踏み込んだ記述が求められることもあります。

大学入学後もモチベーションを維持できるのか?

 そのような過程を経て大学に入学した場合は、自分がやりたいことを大学で出来るのですから、必然と学ぶことへのモチベーションは高いといえます。また、指定校推薦で入学した学生は、もともと真面目な性格であることが多い上に、最近は、推薦の高校内選考の際に、詳細な志願理由書が求められることもあり、やはり、自分が大学に入ってから学ぶことに対する研究をそれなりに行なっているのです。一方で、一般入試で入学した学生は、大学入試で合格することが目的になってしまっていることが多く、「大学に入学してからも学ぶぞ!」という意識を持つことが難しいと言えます。まして、入学した大学が不本意であった場合は尚更です。その結果、退学につながる場合もあるのです。もちろん、大学のレベルや専門分野、理系・文系などでも違いはあり、一括りに論じることはできませんが、概して、それぞれの入試に関してこういった傾向はあるように思われます。

 就職活動で大切なこと

 では、その後の就職活動において、「今の学生がどのように評価されるのか?」、という点に関しても、今年、興味深い話を聞くことができました。それは、就職人気ランキングでも上位に登場する、某大手企業の採用人事に関わっている、非常に親しい方との会話でした。まず、就職活動において、いわゆる「学歴フィルター」がないとは言えないこと。但し、どんな大学であっても、そこで際立った経験をしている場合には面接には呼ぶこと。そして、一番のポイントは、それまでの自分の経験を「ストーリー」として語ることができること、だというのです。上辺だけの経験を語る学生や、奇を衒ったパフォーマンスに走るような学生が採用されることはないようです。逆に、どんな経験であっても、自分なりの考えを持って、就職に至るまでの学生生活の様子を話せる学生は高評価が得られるとのことでした。

大切なのは「その学校で何ができるか?」ということ

 以上のお二人の話から、何かをきっかけにして、「自分が本当にやりたいことは何か?」という問題に真剣に向き合い、それに向かって努力することがいかに大切であるかを今更ながら実感しました。大学入試において、総合型選抜を意識してほしい理由はここにあります。ただ、このことは大学入試に関してだけではなく、中学・高校入試にもあてはまるのです。単に偏差値を追いかけるだけではなく、「その学校で何ができるのか?」ということを真剣に考えることは、その後のモチベーションはもちろん、今の時代における、その先の人生にも大きく関わってくるのです。

 もちろん、誰もが皆、明確な目的を掲げて勉強に臨むようになれるとは思いません。やはり、「人はそれぞれ」であり、自分自身も受験生時代はただ、「学校名」にこだわっていただけでした。特に、やりたいことも、目標もなかったというのが正直なところです。しかし、振り返ったときに、「ストーリー」として語れるだけの経験はしてきたものと自負しております。日米ができることは、「受験」を通じて生徒の皆さんそれぞれが、後になって「ストーリー」を作れるだけの経験をするお手伝いをすることです。授業はもちろん、面談や普段の何気ない会話などを通して、少しでも皆さんの人生を変えるきっかけを作れることに心を砕いて行きます。

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