この夏、成果を上げる「質問」とは?
日米の講師は、質問に来た生徒に対して、「その問題は、今は後回しにしなさい」と伝えることがあります。一見すると、少し冷たい対応に思われるかもしれません。しかし、これには明確な理由があります。
成績が上がる生徒と上がらない生徒を分けるのは、「どれだけたくさん質問したか」ではありません。大切なのは、解けなかった問題を正しく仕分けること。そして、「できなかった問題をできるようにする」ことなのです。
7月も後半に入り、いよいよ夏休みが目前に迫りました。今月号では、日米の「OK!学習法」を具体的な手順に落とし込んだ「4段階仕分け法」について、ご家庭にも共有させていただきます。
まずは、大前提があります。問題集を1ページ解いたら、すぐに丸つけをすることです。ここから本当の勉強が始まります。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、実際には、これができていない生徒は少なくありません。丸つけをせずに問題を解き進めているだけでは、自分が何をできていて、何をできていないのかが分かりません。
そして、丸つけを終えたら、次が本番です。解いた問題を、次の4段階に仕分けます。
① 正解し、もう二度と間違える気がしない問題
② 正解はしたが、不安が残る問題
③ 間違えたが、解説を読めば理解できる問題
④ 間違えたうえに、解説を読んでも理解できない問題
その上で、①には問題番号の横に「○」を、②と③には「△」を、④には「×」をつけます。
ここで大切なポイントは、4段階に分けているのに、記号は「○」「△」「×」の3種類しかないことです。②の「正解はしたが、不安が残る問題」と、③の「間違えたが、解説を読めば理解できる問題」は、同じ「△」に入れます。
判定の基準は「正解したか、間違えたか」ではありません。次に出会ったとき、「自分の力だけで解けるかどうか」なのです。たまたま正解した問題も、解説を読んで納得しただけの問題も、次に自力で解けるとは限りません。そういう意味では、どちらもまだ「できる」には届いていない状態です。だから、同じ「△」なのです。そして、成績を上げるとは、この「△」を「○」に引き上げていく作業にほかなりません。
なお、漢字・英単語・理社の用語暗記など、暗記分野については、この方法がそのまま当てはまらない場合があります。教科ごとの扱いについては、担当講師から生徒に直接指示していきます。
この仕分けを実践して、はっきりと成果を出す生徒がいます。一方で、同じように実践しているつもりでも、なかなか伸びない生徒もいます。その差はどこにあるのでしょうか。
最も多いのは、仕分けの精度が甘いケースです。特に、「△」と「×」の境界が曖昧になっている生徒が少なくありません。本当は解説を読んでもよく分かっていないのに、なんとなく「△」にしてしまう。あるいは、「×」をつけることに抵抗があり、分かったことにして先へ進んでしまう。その気持ちはよく分かります。自分に「×」をつけるのは、抵抗感があるものです。
しかし、ここで大切なのは、見栄を張らないことです。本当は「×」なのに「△」にしてしまうと、やるべき問題が増えすぎます。すると、一問あたりにかけられる回数が減ります。結果として、本来なら「○」に変えられたはずの問題まで、中途半端なまま残ってしまいます。
じっくり解説を読んでも理解できない問題には、勇気を持って「×」をつける。これは決して逃げではありません。むしろ、今やるべき問題を見極めるための、非常に大切な判断です。「×」の問題は、まずは後回しで構いません。やるべき「△」をやり切った後に取り組む、少し先にある課題だと考えればよいのです。
ここで、冒頭の話に戻ります。日米の講師は、質問に来た生徒に対して、「その問題は、今は後回しにしなさい」と伝えることがあります。それは、質問を拒んでいるわけではありません。その問題が、今のその生徒にとって「△」なのか「×」なのかを見極めているのです。
成績が伸び悩む生徒には、一つの傾向があります。本当は「×」の問題ばかりに時間を使い、「△」の問題を「○」に変える練習量が足りないのです。 難しい問題を講師に質問し、その場で説明を聞いて、「分かった」と感じる。もちろん、それ自体は悪いことではありません。
しかし、「分かった」と「できる」は別のものです。「できる」とは、自分の力で解き、自分の言葉で説明できる状態を指します。その場で説明を聞いて分かったとしても、土台がまだ整っていなければ、テスト本番で正解することは難しいものです。 だからこそ、質問は、単に「答えを教わる機会」ではありません。その問題が自分にとって今取り組むべき「△」なのか、今は後回しにすべき「×」なのかを、講師と一緒に見極める場でもあります。
もちろん、難問の質問にも全力で対応します。しかし、それが今の生徒にとって「×」の段階だと判断した場合には、私たちははっきりと、「今やるべきことは、その問題ではない」ことを伝えます。まずは「△」を「○」に変えていきましょう。この判断こそが、夏の学習効率を大きく左右します。
先月の各中学校の定期テストでは、公立中の在籍生92名のうち、27.5%が学年ベスト10以内に入りました。約4人に1人という割合です。さらに、42.9%が学年ベスト20以内に入り、約半数が各中学校の上位層に食い込む結果となりました。
ただし、この数字は、定期テストだけを狙い撃ちして取ったものではありません。日々の学習の中で、できる問題、まだ不安な問題、今は手が届かない問題を見極め、正しい順番で取り組んできた結果です。 私たちが育てたいのは、目先の点数だけではありません。最終的に志望校合格へ届く、本物の実力です。そのために必要なのは、闇雲に問題を解くことではありません。できるようになる問題を一つずつ確実に増やしていくことです。
そこで、ご家庭に一つだけお願いがあります。夏休みのあいだに一度、お子様のテキストを開いてみてください。問題番号の横に、「○」「△」「×」が書き込まれているでしょうか。そして、「△」の問題に、二度、三度と挑んだ跡があるでしょうか。 これを見るだけで、この夏の勉強が機能しているかどうかは、かなり判断できます。何も書かれていなければ、ただ問題を解いただけで終わっている可能性があります。反対に、「△」に何度も取り組んだ跡があれば、正しく学習が進んでいる一つの証拠です。
夏休みが始まる前は、誰もが「今年の夏はいろいろできそうだ」と思うものです。しかし、「終わってみるとあっという間だった」というのは、多くの受験生が口にする言葉です。 だからこそ、すべての解けなかった問題に手を伸ばそうとするのではなく、まずは「△」を確実に「○」へ変えていくこと。それが、遠回りに見えて、夏に成果を出すための最も確実な道です。
日米文化学院は、「困難に立ち向かい、一人で学習できる子どもを育てる」ことを教育理念に掲げています。 この夏も、ただ答えを教えるのではなく、生徒一人ひとりが「今、自分は何をすべきか」を判断できるよう、講師一同、全力でサポートしてまいります。