日米通信 | 志望校選び
「合格」の先にあるもの
――本当に納得できる学校選びのために
「果たして、あの学校に行かせるべきだったのだろうか・・・」
塾講師をしていて本当につらいのは、生徒が第一志望に合格し、送り出したあとで、その学校に通い続けることが難しくなったという報告を受けるときです。要因は一つではありません。ご家庭の事情、本人の心身の状態、人間関係、学習面での負担など、さまざまな要素が重なっていることもあります。
それでも、経験上、「どこか合わないかもしれない」という感覚を残したまま送り出した生徒が、入学後に苦しんでいると知ったときの後悔は、簡単には消えません。この思いこそが、日米文化学院として皆さんに「納得のいく志望校選び」をしてほしいと考える原動力です。
受験のゴールは、合格発表の日ではない
受験のゴールは、合格発表の日ではありません。その学校で始まる毎日こそが、受験の本当の続きです。過去問演習が本格化し、志望校・併願校を具体的に決めていくこの時期。意識はどうしても「合格できるかどうか」に向かいます。合格を目指すことは、受験である以上、大前提です。それでも、同じ熱量でもう一つ考えておきたいことがあります。それが「納得のいく学校選び」です。
受験の本当の成功は、「どこに合格したか」では決まりません。お子さんが進学した学校で、充実した毎日を送れるかどうか。そこで決まります。たとえ第一志望に合格しても、入学後の生活が合わず、毎日が苦しいものになってしまったら、それは本当に成功した受験と言えるでしょうか。反対に、第一志望ではなかった学校で、良い友人と信頼できる先生に出会い、自分の居場所を見つけていく生徒は、たくさんいます。
偏差値や進学実績だけでは見えないもの
だからこそ、学校選びを「偏差値が高いか低いか」「進学実績はどうか」「家から近いか」だけで判断してはいけません。大切なのは、その学校でお子さんがどんな時間を過ごせるのか、という視点です。授業の雰囲気は合っているか。先生方は生徒にどう接しているか。部活動や行事に魅力を感じられるか。学力を伸ばす仕組みはあるか。その一つひとつが、入学後の毎日を形づくっていきます。
中学受験なら、まだ小学生のお子さんが六年間を過ごす場所を選ぶことになります。高校受験なら、大人へと近づいていく三年間を預ける場所です。学力だけでなく、精神的な成長も、人間関係も、学校文化との相性も大切になる――学校選びとは、「合格できそうな学校を並べる作業」ではなく、お子さんがその学校でどう育っていくのかを想像する作業なのです。
志望校選びで大切にしたい3つの問い
現実的な合格可能性を見極めることは、もちろん欠かせません。偏差値や過去問との相性、倍率、併願日程、入試方式を冷静に見る。しかし、それだけでは足りません。ぜひ、次の問いを大切にしてください。
01 「この学校に通うことになったら、うちの子は前向きに通えるだろうか」
02 「この環境なら、この子の良さが伸びるだろうか」
03 「親として、この学校に子どもを預けたいと思えるだろうか」
「引き算」ではなく「足し算」の学校選び
ここで役に立つのが、「引き算」ではなく「足し算」による学校選びという考え方です。
「偏差値が低い」「通学時間が長い」「進学実績が思ったほどではない」――気になる点があれば、それだけで候補校から外してしまう。それが、「引き算」の学校選びです。行きたい学校の条件の確認は必要ですが、引き算で学校選びをすると、本当にお子さんに合った学校を見落としてしまいます。
どの学校にも長所と短所があり、すべてが完璧にそろった学校はありません。だからこそ、「先生方の雰囲気が良い」「この行事なら、うちの子は楽しめそうだ」「空気感が本人に合っている気がする」と、プラスの要素を見つけていく「足し算」の視点が要るのです。
説明会や文化祭、見学会に足を運ぶ意味は、まさにここにあります。パンフレットやホームページでは分からない空気があります。先生方の言葉の温度があり、生徒たちの表情があります。
偏差値は入学時の目安です。進学実績は卒業時の結果です。けれども、お子さんが実際に過ごすのは、そのあいだにある毎日です。
その毎日が充実しているかどうかこそが、学校選びの本質です。
その機会の一つとして、10月18日(日)、神田外語大学で中高進学相談会「スクールフェア」が開催されました。受験学年はもちろん、これから受験を迎える学年にとっても、学校を知る貴重な一日となりました。先生方から直接話を聞き、パンフレットだけでは分からない空気を感じる。その一つひとつが、納得のいく学校選びにつながっていくのです。
併願校こそ、納得できる学校を選びたい
そしてこの視点は、併願校選びでこそ生きてきます。憧れの第一志望に向かって努力することは、モチベーションを維持するという意味でも大切なことです。しかし、受験に絶対はありません。だからこそ、第二志望以降の学校についても、「ここに通うことになっても、きっと成長できる」と心から思える選択をしておく。実際に進学する可能性がある以上、併願校は決して「おまけ」ではありません。お子さんの大切な数年間を過ごすかもしれない場所です。その納得が、受験生にとっても保護者にとっても、大きな安心材料になります。
受験における本当の失敗とは、第一志望に届かなかったことではありません。どの学校に進むことになっても、その学校での生活を前向きに始める準備ができていないことです。もちろん、受験が、人生のすべてを決めるものではありません。けれども、人生に大きな影響を与える節目であることは確かです。日米文化学院では、今後の面談を通じて、学力面だけでなく、お子さんの性格や志望、学校との相性まで踏まえながら、最終的な志望校選びをお手伝いしてまいります。
「あの学校に行かせて、本当によかった」
「あの学校に行かせて、本当によかった」
――後々になって、お子さんも、保護者の皆さんも、そして私たちも、心からそう言える選択をしたい。あの後悔を、誰にも残したくはありません。
合格発表の日だけでなく、その先に始まる毎日まで見据えて。お子さんが胸を張って本番に向かい、進んだ場所で充実した毎日を送れるように。日米のスタッフ一同、納得のいく一校が見つかるまで、最後まで一緒に考えてまいります。