日米進学通信2020年度10月号「納得のいく志望校を選ぶために必要なこと」
「納得のいく志望校を選ぶために必要なこと」
10月も中旬に入り、いよいよ県内私立中学・高校入試の解禁日まで100日を切りました。この時期になると受験生もそろそろ焦ってくる時期・・・かと思いきや、焦っているのは本人ではなく、保護者の方々だったりします。それは、毎年この時期に行われる「高校入試説明会」でのお母様達からの反応からも見て取れます。特に、今年はコロナ禍で、学校見学や説明会の機会が例年に比べてここまでほとんど行われてこなかったことも影響しているようです。なかなか受験が「自分事」になっていないのです。
そこで、当学院も加盟している千葉学習塾協同組合(JAC)が今年度「オンラインスクールフェア」と銘打って、千葉県内の私学を中心にご紹介する2つのイベントを実施しました。1つは7月に実施されたYouTubeライブによる学校説明会です。ここでの内容はJACのホームページの「バーチャルスクールフェア」で公開されています。そして、2つ目が10月11日(日)に実施されたZoomを用いた個別相談会です。例年は、対面で行われるスクールフェアが受験生の意識を高揚させる重要なイベントになっていますが、今年度は参加者も中3生の半数程度に止まってしまいました。これには危機感すら抱いています。
ここで、スクールフェアが私立校を対象していているイベントであることから、「公立校を第1志望にしているのに、そんなイベントに参加して意味があるのか?」という方がいらっしゃいます。しかし、結論からいえば、「公立校を第1志望」にしているからこそ、私立の次善校選びが大切になるのです。例年この時期にお書きする内容であり、既に「高校入試説明会」でもお話ししていますが、受験学年の皆さんはもちろん、他の学年の皆さんにも是非、心に留めて頂きたいと思います。
まず、受験における「成功」とは何でしょう?「それはもちろん、『第1志望合格』であり、いわゆる『滑り止め校』への進学は受験における「失敗」だろう」、とお考えになる方が多いかも知れません。しかし、その答えは必ずしも正解ではありません。なぜなら、第1志望に合格したにも関わらず思い描いた学校生活を送ることができなかった事例や、逆に次善校に行っても本当にイキイキと生徒が通学している事例は枚挙に暇がないからです。
つまり、「第1志望に合格したから成功」でも、「滑り止め校に進学したから失敗」でもありません。受験が「成功」といえるかどうかは「入学後に充実した学校生活を送れるかどうか」に係っているのです。たとえ、第1志望に合格しても、その学校が本人と「ミスマッチ」である場合には成功した受験とはいえないのではないでしょうか。このような事態が起こらないために「納得のいく志望校選び」が必要なのです。
「納得のいく志望校選び」のために大切な視点を一つあげるとすると、それは「引き算」ではなく「足し算」の学校選びを行うということです。とかく、「偏差値が低い」とか「通学距離が遠い」など、一つでも悪い点があるとそれだけでその学校を志望校から除外してしまいがちです。それが「引き算」の学校選びです。この選び方でいくと結局、偏差値やその後の進学実績、通学距離など客観的な要素だけで志望校が決まりがちです。しかし、「進学実績が良い」からといって、その学校が「お子さんにとって良い学校」とは限りません。また、「通学距離が近い」ということと「その学校に合う、合わない」というのは関係がありません。結局、子供達にとって、全てにおいて悪い点がない学校などは存在しません。なぜなら「人はそれぞれ」だからです。そうすると、「引き算」の学校選びは、それぞれのお子さんにとって、本当に合った学校を見過ごすことになるかも知れないのです。
逆に足し算の学校選びとは、本人の性格や将来やりたいことなどに照らして、「こんないいことがある!」「この仕組みなら行かせてみたい!」など、実際に学校生活を送る上でプラスとなる要素を説明会や見学会などを通じて探していくという姿勢です。また、保護者の目線からすると「その学校は・・・」と思われても、受験生本人が調べた上で、魅力を感じているならば、無碍に否定することなく、しっかりと本人の話を聞くという姿勢も大切です。このような選び方をすると、少々のマイナス面があったとしても本人が続けて通う意思を持ち続けられる可能性が高いのでミスマッチが起こりにくくなります。現に充実した学校生活を送っている生徒達はその学校に引き付けられるものを何かしら持っているのです。
そして、「納得のいく学校選び」において最も大切なことは、「自分の目や耳で確かめること」なのです。そこにスクールフェアや学校説明会の存在意義があります。入試制度や将来に渡る子供達のおかれる環境の変化は今まで以上に大きくなりそうです。その変化に対応していけるだけの学校かどうかもポイントの一つです。「現状の偏差値」や「進学実績」がまるで意味をなさなくなるかも知れません。但し、「いつ、どこで、どのように」学校の情報を得るべきか?も重要です。この点について、とくに受験学年以外の皆さんには今後の保護者会や面談などを通してお伝えしていきます。
納得のいく志望校選びを行い、憧れの「第1志望」が決まれば、それだけ日々の学習にも身が入ります。その結果「志望校合格!」となればめでたし、めでたし、です。が、残念ながら受験に「絶対」はありえません。特に、千葉県全体で「公立高を第1志望」にしていたにも関わらず、私立高に進学した受験生は30%も存在することが厳然たる事実です。だからこそ、本当に納得のいく学校選びが必要なのは「第2志望以降」の私立校なのです。私学助成金の拡大により、圧倒的に公立志向が強かった千葉県の情勢にも変化が見られます。「学費が同じであれば、公立よりも私立に・・・」という方は多いようです。特にこのコロナ禍に対する公立と私立の対応の違いは明らかでした。この辺も今後の情勢に影響が出るかもしれません。
受験生の皆さんには今後の面談などを通じて、最終的な志望校選びのお手伝いをしていきます。また、受験学年以外の皆さんは是非、今後の志望校選びの参考としてみて下さい。受験は長い目でみれば、人生における一つの過程でしかありません。これで人生が決まる訳ではないのです。しかし、人生に大きな影響を与える一大イベントであることも事実です。この過程を日米生の皆さんが最高の形で終えることが出来るように、これからも我々日米のスタッフは全力で応援していきます。